やきや突撃レポート!
「接客」・・・お店にとってはお客さんとの接点となる非常に重要な要素の一つですよね。接客によって、お客さんを「熱烈なファン」にする事も出来るし、また「客離れ」を引き起こす原因にもなってしまいます。 そんな「接客」を武器に人気を博しているのが名古屋市にある行列の絶えない大繁盛焼肉店「焼肉工房やきや」さんです。
では皆さんと一緒に「やきや」さんに実際に焼肉を食べに行って「感動する接客」というのを体験してみましょう。
まずお店に着くともう既に大行列。
しかたがない、寒いの覚悟で外で並んで待つことにしましょう。
名前を書いて外の待合いの椅子に座って並んでいると、「寒いですね。よかったらどうぞ」と暖かそうなブランケットと温かいお茶を手渡してくれました。これは有り難い。更にたくさんの炭火の入った七輪を足下に。何だかキャンプでもやってるかのような気分になってきて、寒いんだけど心はほんのり暖かくなってきました。
しばらく待ってるとやっと順番が回ってきて、「お待たせしました。ごめんなさい、寒かったでしょ」と笑顔で席にご案内。早速バンバン焼肉を注文です。
備長炭を使った七輪で焼肉を食べていると段々「あみ」が汚れてきました。「あみ」の交換を頼むとしましょう。「失礼します」手際よく七輪の上に肉が乗ったままの網の上に新品の網を乗せ、素手で網をひっくり返し、一瞬で新品の網と交換してくれました。ビックリして「熱くないの」と聞いたら、ニコニコしながら「ちょっと熱いけど大丈夫ですよ。本当は手袋したいけど、これをやるとお客さんが喜んでくれるんで。喜んで頂けました?」と笑顔を残して行ってしまいました。
ふとテーブルの上のPOPを見ると、「誕生日の方はスタッフまで」の文字が。そういえば明後日は私の誕生日だ。スタッフの方に伝えておこう。誕生日の件をスタッフに伝えしばらく経つと、店の照明が急に真っ暗になって「あれ?どうしたの?」とお客さんがザワザワ。するとパチパチ花火のついた特別デザートが登場してスタッフ全員が私の元に集合。
いきなり皆で手拍子をしながら大きな声で「ハッピーバースディ」を歌い出しました。周りのお客さんも巻き込んで店全体での大合唱です。すっごく恥ずかしいけど、ちょっと嬉しいかも。歌い終わると大きな拍手の後、ポラロイドで記念撮影。「何かコメントを書いていただけますか?」と写真を渡されました。(お店に掲示するんだって)
そうこうしている内に締めに頼んだ「やきや特製辛みうどん」が来たようです。何かいっぱい持ってきてるぞ。何だろう?お姉さんが「お待たせしました」と言いながら、テーブル上で熱々に焼いた石焼き鍋に、麺と具を入れてその上からスープを注ぎます。するとワッと美味しそうな香りが匂い立つと同時に、ジューという音と煙がいっぱい。鍋の中はグツグツと沸騰してて、今にも溢れ出そうになっています。これは何とも旨そうだ。うどんを作ってくれている間は約3分間。お姉さんはいろいろ気さくに話しかけてくれてちょっとお友達気分です。
ふぅーお腹一杯。食べ終わってしばしゆっくりしていると、「温かいお茶です。どうぞ」とお茶のサービス。嬉しいねぇー、やっぱり日本人にはお茶だよね。
そろそろ帰ろうとレジでお会計をしていると、突然ファンファーレが鳴り響く。「何だ、何だ?」「おめでとうございます!今日のラッキーマンはあなたです」と言いながらプレゼントをもらっちゃいました。(実はこのファンファーレは50組に1組なるように設定してあります)思いがけなく何かが当たるって何か嬉しいですよね。楽しい気分で家路に帰り着けそうです。
いかがでしたか?やきやさんでのお食事は。ちょっとしたことばかりだけど、嬉しい「感動する接客」がいっぱいですよね。これは全てやきやの接客マニュアル通りの内容です。
お客さんという「ヒト」を感動させる接客には、常にお客さんの思う「期待値」とのギャップが必要です。「まさかそんなことしてくれるはずがない」と言った内容だから、ちょっとしたことにもヒトは感動するのです。どんなに素晴らしいサービスを受けても、期待値が高いと感動はしません。あくまでも「期待と現実のギャップ」がヒトの気持ちや心を動かすのです。
でもお客さんの期待を常に上回るというのは大変な事です。現実的にコストや人手の問題、他社とのサービス合戦の中、なかなかそうはいきません。そこで注目したいのが、「思いがけない」といったキーワードです。「誕生日プレゼントあげるから」と予告してからプレゼントをあげるよりも、突然「誕生日おめでとう」とプレゼントをあげた方が女性の方に感動(感激)してもらえますよね。
これは「思っても見なかった」「期待していなかった」から、感動の度合いが大きいんです。つまり思いがけない出来事だったから、「感動」したんです。
「感動する接客」を考える上では、顧客の期待値を上回ることを考えると同時に、「思いがけない」ということを考えるとより有効な手立てを生み出すことが可能になります。 「感動」を生み出すためには、常にお客さんの心理や感情をベースにショップの様々な要素を考えることが大切です。